2025年10月27日から31日にかけてメキシコシティで開催された、シェル・空間構造に関する国際学会「IASS 2025」に参加した。本会議では、新規の曲面構造システムおよびAIを用いた施工計画システムに関する研究発表を行った。会期中、会議のチェアを務めた建築構造分野の権威であるProf. Juan Gerardo Oliva Salinasをはじめ、数学と構造を横断する実務設計者のDr. Toby Mitchell、AIと構造設計を融合させた研究を展開するProf. Kam-Ming Mark Tamらと交流し、最新の知見を共有した。
その後、米国プリンストン大学へ移動し、11月4日には材料工学分野の若手精鋭であるProf. Liuchi Liと面談した。同日午後にはProf. Sigrid Adriaenssens率いる「Form Finding Lab」にてプレゼンテーションを行い、メンバーとの会食を通じて親睦を深めた。翌5日には、ロボットと人間の協働を研究するProf. Daniela Mitterbergerや、材料工学のスペシャリストであるProf. Andrej Košmrljと研究打ち合わせを実施した。夜には、修士課程当時から親交のあるProf. Adriaenssensと再会し、研究生活について有意義な対話を行った。交流した各研究者は、いずれも世界をリードする知見を持ちながら、専門の垣根を越えて積極的に対話を行う姿勢に溢れており、研究者としての在り方についても多大な示唆を得た。
11月7日には、建築設計事務所OMAニューヨークオフィスにて、京都大学OBの阿波野太朗氏による案内のもとオフィスを視察した。海外で活躍する同窓生とのネットワークは、将来的な講演会等の開催を通じて、本学へ経験を還元する貴重な足掛かりになると期待される。
続いてボストンへ移動し、11月10日から14日にかけてノースイースタン大学に滞在した。建築構造の持続可能性を専門とするProf. Demi Fangとは、コロナ禍を経て数年ぶりの再会となったが、互いの専門について議論を深めた結果、共同で研究助成(グラント)を申請する合意に至った。これは本渡航における特筆すべき成果の一つである。また、14日には彼女の講義にて100分間の招待講演を行い、次年度に日本で予定しているワークショップに向けた基盤を構築した。
11月16・17日には、国際学会「AAG 2025」のオプションイベントであるデザインワークショップに参加した。Prof. Mark Paulyの指導下で弾性変形を用いた曲面構造模型を製作し、コンピュータサイエンスと物理現象をリンクさせる教育的アプローチを学んだ。18・19日の本会議では、木材の切り込みによる形状制御に関する研究発表を行い、修士時代の指導教員であるProf. Caitlin Mueller(MIT)と直接議論を交わし、最新の研究動向について情報をアップデートした。最後に、11月20・21日には製作技術の国際学会「SCF ’25」を聴講し、ものづくり技術の最新動向を網羅的に把握した。
本渡航は非常に過密な日程であったが、既存ネットワークの強化および新規開拓という当初の目的を十分に達成した、極めて実りあるものとなった。