About L-INSIGHT

事業の構成

自由の学風を継承してきた京都大学では、研究者育成を制度として取組む上でも、若手研究者のもつ個性を尊重しています。キャリアの多様化が進む若手研究者にとって、長期的展望を開拓し、維持できる環境はますます重要性を増しています。このような現状を踏まえ、本事業では、若手研究者の主体性を活かし、その潜在能力を最大限に引き出す育成プログラムを開発しようとしています。

研究を通じて未来社会に貢献し長く研究者として活躍するためには、研究活動を多様な側面から理解し、いち研究者としてだけでなく、地域産業や国際社会に至る異なる立場の目線から洞察し実行することが肝要です。

本事業では、このような行動特性(コンピテンシー)を世界視力と銘打ち、プログラム開発の基盤となる独自のコンピテンシー・フレームワークを設計しています。

このフレームワークを基盤として、個々が目標と目標に至るプロセスを定め、その達成に必要な視座、知識、行動といったコンピテンシーを高める3つのプログラム群を構成しています。

  1. 世界視力への理解を深め、実践に必要な能力を養う「基幹プログラム群(Core Programs)」
  2. プログラムでの経験と研究活動をスムーズに繋ぐ「CToP(Core to Practical)」
  3. 実践の場で行動を通じて世界視力に磨きをかけながら、自在に発揮する能力を養う「実践プログラム群(Practical Programs)」

研究活動との接続にあたっては、名誉教授メンターが長期的な視座から対話を行い、プログラムの参加にあたっては、受講支援メンターがバックアップします。
また、研究成果の発信に必要な費用を毎年上限を定めて提供しています。

提供プログラムは研究者のコアサークル形成に資する機会創出や個々の研究活動をバックアップすることを主眼においています。フェロー以外の研究者や大学院生でも希望をすれば参加可能なプログラムも、基幹プログラムを中心として提供されています。今後も引き続き、フェローや連携機関に所属する研究者に限らず、広く活用頂けるプログラムとして普及のための改善を進めていきます。

さらに、研究者個人が各種プログラムの効果を自ら検証するツール(Global Insight Individual Logic Plan、GIILP)を開発し、研究者自身の目指すコンピテンシーへの個別プログラムのインパクトを振り返ることで、プログラムの効果測定(有効性評価)を行っているほか、各研究者の研究実績を経年的に測るモニタリング(定点調査)を導入するとともに国内外の有識者から意見を取り入れ、プログラムの開発・実証・改善を実施しています。若手研究者の自己分析は、名誉教授メンターや受講支援メンターらとの面談により支援しています。

以上を実現するため、学内の各組織はもとより、国内外の研究教育機関および企業と連携関係を構築して多様な視点による機会提供を実現しています。開発されたプログラムは国内外の研究者に活用いただくため、その普及に向けて継続的に改善に取り組んでいます。